No. 023 "She has no sense of direction."

昔「話しを聞かない男、地図が読めない女」という
本がありました。一般的に、なぜか、方向音痴は
女性に多いと言われています。本日の本題は、
別に男女の脳構造についてはありませんで、
「○○オンチ」という表現であります。

「彼女は方向音痴だよね」は、
“She has no sense of direction.”
（シーハズノーセンソヴディレクション）

ま、考えてみれば、日本語でも
「あいつは、ほんとセンスないな！」
という使い方をよくしますので、ある意味では
馴染みのある単語ではあります。

ただ、英語では、
“He has no sense.”
とだけいっても、ちょっと通じません。
残念ながら「彼はセンスがない」という意味には
なりません。やはり「何のセンス（感覚）」が
ないのかを言わないとダメなのです。

ということで、
“He has no sense of humor.”
（ヒーハズノーセンソヴヒューモォ）
「彼は、ユーモアのセンスがないのよね。」
“He has no sense of taste.”
（ヒーハズノーセンソヴティストゥ）
「あいつ、ほんと、味覚オンチ！」

などと使います。なぜか、これらの例文では
“He” が主語の方がピッタリ来る気がします　(>_<)

“She has no sense of distance and space.”
（シーハズノーセンソヴディスタンサンスペィス）
は、あんまりお目にかからないと思いますが、
「彼女は、車間距離感覚がないんだよね。」
という意味でよく使われます。

尤も、なんでもかんでも “sense of” の後につければ
いいというものでもなく、日常会話では９０％が、
“sense of direction”（方向感覚）
“sense of taste”（味覚）
“sense of humor”（ユーモアのセンス）
“sense of space”（距離感）
だと思ってください。

あ、ところで、辞書を見ると、
[通例 a ～]で、”a sense of direction” = 「方向感覚」
と書いてあります。もちろん、これはその通りで、
「彼はいい方向感覚を持っている」という肯定表現であれば、
“He has a good sense of direction.”となります。

実は、”no” ＝「何もない」＝「ゼロ」であるわけですが、
英語では、ゼロを複数形として扱います。というわけで、
“no” の後には “a” (＝ 一つ)がつかなくなるので、
“She has a no sense of direction”とは言わないのです。

ちょっと細かい点ですが、「no = 複数」も知っておくと
便利です。フレーズで言えば、
“I have no brothers.” という具合に「兄弟がいない」
という時の “brother” が複数形になるわけです。
これもちょっとした、ワンポイントでした。